2013年7月17日水曜日

②経営(ビジネス)で陥る最適化の罠とは? 自然界に見るジレンマ解消の智慧


サービス・イノベーションへの期待 -理学は実業の諸問題を解決できるか?(主催:内閣府経済社会総合研究所)というシンポジウムのお話の続きです。

前回のアリの話でも書きましたが、最適化を行う事が本当に「最適」なのか?という問いの流れの話です。

企業経営ともなれば、どの分野にどれだけのリソースを投入していくか、そしてその最適解を出して効率的なビジネスによって利益を生むと言う発想なのは当たり前ですね。

ただ、それは数理科学という観点で見て行くと、本当にそうなのか?という疑問も生まれます。

つまり将来予測という要素が混ざることで複雑になっていく。

これは「組み合わせ爆発」と呼ばれていて、最適化を阻む壁になっているそうです。要素が増えると計算量が莫大に増えて行くことを指します。となると最適な解も予測の数ごとに分岐していって解そのものが増えて行くことになります。(数理モデルの増加)

であれば解はある意味無限に近づくという矛盾も出てくるわけです。そこからどうやって一つの解を手に入れるのか・・。

例えば、自然界のモデルを紹介すると、東北地方に生息する鳥がいて、生まれてくるひな鳥は「黒」または「白」のどちらかの色で生まれてくるそうです。それはなぜかと言うと、雪が残る時期に生まれると「白」が保護色となり、雪の無い時期だと地面の色の「黒」が保護色となるそうです。(もちろん逆パターンとして生まれれば保護色にはならず、生命の危機が大きくなります)

もしこれをあえて一般的な企業で採用される思考パターンで両方の特性を併せ持つように効率化を考えると、グレーという選択になるのではないか、機能を合わせる事で付加価値を生むと言う考え方。

でもこれは自然界のモデルからすれば雪、地面どちらの保護色にもならないので種は絶滅してしまう。

何千年も種を残し生き残っている自然界のモデルは、白と黒を絶妙なバランスで生むと言う事にしかないのです。

企業で言えば、一定の割合で無駄が生まれている事で、生き残るチャンスが広がっていると言う事につながると言えます。
ごくわずかな無駄も排除すると、環境が変われば、ひとたまりもなく生命の危機が訪れる。

効率化、最適化とは、実はこのような「無駄」をどれぐらいの割合で含めるか、という考え方を取り入れることも大事で、その割合やパターンをモデル化することを数理科学でサポートしていくのが理想的であるという意見も出ていました。

継続していく事、複雑な要素の問題解決をする事、最適なモデルを構築する事は、いかに「有効な無駄」が存在できる仕組みにするかがポイントという事だと感じます。

このような科学的な分析や理論化によって、企業の戦略やオペレーションが解析されていく事の面白さも感じます。シンポジウムの話では特に数学の様々な概念を適用させると、企業活動におけるイノベーションを生む可能性が高いと言う事も知りました。

理学がビジネスの現場にもっと活用されるように、また実践として自らが取り入れられるようにディプルート社でも研究を続け商品化までもっていきたいと思います。



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